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序曲(帰山栄治) [曲目解説]

※第7回演奏会、2012年6月2日、名古屋市名東文化小劇場
第二ステージ2曲目(トリ)、指揮:大橋一輝

作者(1943-)は福井県大野市出身、
62年名古屋大学文学部入学と同時にギターマンドリンクラブに入部、
指揮者となった(なお同期のコンサートマスターが榊原喜三氏)。
その後中田直宏氏に作曲を学ぶ。

主な作品は「Ouverture Histrique No.1-7」「三楽章第1-5番」等があるが、
氏の作品の中核思想=「現代社会の人間疎外の憂鬱の中で
“人間の持つ宿命的な淋しさ”をしっかりと見つめ、
いかにして人間らしく生き抜くか」を問い続け、
斯界においては特色ある作品群を発表し続けている。

本曲は1972年名古屋大学ギターマンドリンクラブ第15回定演で初演された。
緩-急-緩-急という、「Ouverture Histrique」シリーズなど
氏の作品に多く見られる構成であり、
また氏の初期作品群に共通する急速部の速弾きやパート間の音の受け渡し、
緩徐部の深遠な旋律など、
「ハ短調の序曲」「Ouverture Histrique」「三楽章第1・2番」などで
培ってきた氏の初期作曲群の集大成的な作品である。

冒頭マンドロンチェロによって不安げに提示される主題が
うねりとなって前半部の頂点を築き、
急速部でも多様に表情を変えながら、前へ前へと突き進んでいく。

近年の氏の作風とは趣を異にする、
若々しい「熱さ」を有した音楽を、
本日は初演時のメンバーも交えた演奏で堪能いただきたい。

参考: 「帰山栄治作品解説集」ウェブサイト

関連リンク:代表による「序曲への思い入れ

ムーサの演奏へのリンク(youtube)

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